生理中に筋トレしても大丈夫?女性ホルモンと身体リズムに合わせた運動法を解説

フェムケア入門・コラム

筋トレを続けていると、生理中のメニューについて悩んでしまいますよね。せっかく積み重ねてきた筋トレを、生理の間ずっと休むのは嫌だと感じる方もいるでしょう。

本記事では、生理中の筋トレで気を付けるべきポイントや時期に合わせたおすすめのメニューについて解説します。

生理中に筋トレはしてもいい?

そもそも、生理中の筋トレは実施できるのか、見ていきましょう。

結論:軽い筋トレやストレッチはOK、強度の高い運動は控える

生理中に筋トレを含めた運動をすることは可能です。しかし、生理の症状は個人差が大きいため、あくまでも体調に合わせて無理なく行うことが重要となります。軽い筋トレやストレッチにとどめ、強度の高い運動は控えましょう

血行促進による生理痛の緩和効果も

生理中に軽い運動を行うと、骨盤内の血流が促され、痛みが軽減することもあります。「女子/女性のための運動の効果がわかるベーシック・ガイド」では、具体的な運動の効果の例として、「月経に関する辛い症状を軽減する」を挙げています。

参考 女子/女性のための運動の効果がわかるベーシック・ガイド

避けた方がいい筋トレ種目

生理中は、体調の細かな変化にも注意しながら運動する必要があります。特に、貧血や疲労を招きやすい激しい運動は避けた方が安心です。

鉄欠乏性貧血は陸上長距離や練習量の多い球技などでよく見られます。また、月経のある女性では、定期的に血液が失われるため、男性より鉄欠乏性貧血になりやすいです。
引用:日本スポーツ協会 女性スポーツ促進に向けたスポーツ指導者ハンドブック

筋トレでは、

  • 腹圧が強くかかるスクワット
  • デッドリフト
  • HIITなど高強度メニュー

などのメニューは避けましょう。

生理周期と女性ホルモンの関係

生理周期は、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの変動が大きく関わっています。これらの女性ホルモンの分泌量と運動との関係性について見ていきましょう。

エストロゲンとプロゲステロンの変動

生理周期は、月経期・卵胞期・排卵期・黄体期の4つで構成されています。女性ホルモンの分泌量は時期によって変わり、それに伴って体調が変化することも多いです。

女性ホルモンのエストロゲンは卵胞期に増加し筋力や気分を安定させる一方、プロゲステロンが優位になる黄体期はむくみやだるさが起こりやすくなります。

女性ホルモンとは、おもに卵巣から分泌される「エストロゲン」と「プロゲステロン」のことを指します。この2つのホルモンは排卵や月経をコントロールするだけでなく。 女性の心身に大きく影響しています。
引用:働く女性の心とからだの応援サイト

ホルモンリズムと筋トレの相性

生理が終わった後の卵胞期は、エストロゲンが増加し活力もみなぎりやすくなります。この時期に体調が良いと感じる方も多いため、高強度のトレーニングにも向いています。

一方、生理が始まる前の黄体期はプロゲステロンが多く分泌され、気分の浮き沈みやむくみ、便秘などの不調が起こりやすくなると報告されています。月経期と同様に、軽い運動にとどめた方が良い場合もあります。

出典 「月経周期と排便習慣との関係性

生理周期別のおすすめ筋トレメニュー早見表

生理周期で筋トレメニューを変えたい時は、以下の表も参考にしてみてください。

生理周期別:おすすめの筋トレメニュー早見表
時期 ホルモン状態 身体の特徴 おすすめの運動 避けたい運動
月経期 エストロゲン・プロゲステロンの両方が低下 だるい・貧血気味 ・ストレッチ
・ヨガ
・軽い体幹トレーニング
高負荷筋トレ全般
卵胞期 エストロゲン上昇 気分安定・筋力アップしやすい ・筋トレ
・下半身強化
・有酸素運動
特になし
排卵期 エストロゲンがピークに 集中力アップ・怪我リスク増加 ・サーキットトレーニング
・中負荷トレーニング
無理な重量アップ
黄体期 プロゲステロンが優位 むくみ・眠気・倦怠感 ・ヨガ
・ストレッチ
・ピラティス
ハードな有酸素運動

参考:厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」文部科学省 スポーツ庁「女子/女性のための運動の効果がわかるベーシック・ガイド(2024年5月)」

生理中に筋トレを行う際の注意点

生理中の筋トレは、特に以下のポイントに注意して行いましょう。

身体のサインを最優先にする

体調が悪いと感じたら、無理をしないことが大事です。めまいや立ちくらみといった貧血の症状、強い痛みがある時などは、運動することでかえって不調を悪化させたり怪我のもとになったりします。無理なく行えるかどうかを最優先に考えましょう。

医療機関の受診を検討したほうがよい症状

受診目安:生理中に気をつけたい症状
症状 考えられる状態 対応
立ちくらみ・失神 貧血の可能性 トレーニングを中止し婦人科へ相談
発熱や激しい腹痛 感染・子宮内膜症などの可能性 医療機関を受診
出血量が極端に多い 過多月経の疑い 婦人科受診を推奨

無理な負荷より「継続」を重視

生理中は、無理に負荷をかけるような筋トレよりも、軽く行えるストレッチ等の運動に切り替えるのがおすすめです。運動を休止することでストレスを感じる方もいるため、リフレッシュするためにも心地よい疲労感が感じられる程度のメニューを選びましょう。

鉄・マグネシウム・ビタミンB群を意識した食事

生理中は、貧血や生理痛、PMSの症状に良いとされる鉄やマグネシウム、ビタミンB群などを意識した食生活がおすすめです。これらの栄養が多く含まれている代表的な食材は以下のとおりです。

生理中に意識したい栄養素と主な食品
栄養素 主な食品 補足
牛肉、レバー、ほうれん草、小松菜 月経中の貧血予防に重要
マグネシウム 海藻類、ナッツ類、豆類 筋けいれんやだるさ対策に有効
ビタミンB群 豚肉、レバー、魚、卵、大豆 代謝・エネルギー補助

参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」

ふだんの生活では、穀類(玄米・全粒粉パン)や野菜など食物繊維の多い複合炭水化物、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、ビタミンB6を、積極的に摂取するよう勧められています。
引用:日本産科婦人科学会

PMSや更年期にも役立つ「ゆる筋トレ」習慣

生理中の運動は、無理をしない範囲で行えばメリットもあります。生理中に限らず、PMS対策をしたい方や更年期を迎えた方にもおすすめな「ゆる筋トレ」についてご紹介します。

筋トレがホルモンバランスの乱れを和らげる可能性

更年期ではエストロゲンが減少し、筋力低下・代謝低下・気分変動が起こりやすいとされています。筋トレは、エストロゲンの減少が緩やかにしたり、基礎代謝の低下防止につながったりするというメリットがあります。また、心地よい程度の運動は精神面での安定を助けるともされています。

更年期以降の女性におすすめの軽運動

ウォーキング・ピラティス・チューブトレーニングなど、軽い負荷で続けやすい運動がおすすめです。楽しく続けられるものを選びましょう。

アプリ連携で「周期と運動」を一括管理

生理アプリを活用することで、自分の体調の傾向を事前に把握でき、無理のない運動計画をたてやすくなります。シンプルで使いやすいアプリなら、入力もスムーズで続けやすいでしょう。

生理中の筋トレを支えるフェムケアアイテム

生理中の筋トレを快適にするために、フェムケアアイテムを活用するのもおすすめです。

吸水ショーツや動きやすいウェアの選び方

経血が漏れてしまわないか不安になると、筋トレに集中しにくくなります。生理用の吸収ショーツなら、ショーツそのものが経血を吸収してくれるため、漏れの不安が少なくなるでしょう。タイミングにより、生理用ナプキンやタンポンと併用するのもおすすめです。

また、ウェアについては、締め付けないゆったりとしたタイプを選びましょう。生理中は特に血行を良くすることが大切です。締め付けの強いレギンスやアンダーバストのきつい下着、ゴムがきついズボンなどは避けましょう。

お肌トラブルを防ぐインナージェル・保湿ケア

生理中はデリケートゾーンが蒸れやすく、運動による摩擦で痒みが生じる場合があります。お風呂でいつも以上に洗ったり、ウォシュレットを頻繁に使ったりすることもあるでしょう。

しかし、洗いすぎは乾燥を招き、痒みを引き起こす要因になります。デリケートゾーン専用のインナージェルを活用して、しっかり保湿しましょう。

フェムテックで「記録」→「改善」へつなげる

生理アプリなどのフェムテックに記録をする習慣をつけると、データを見て自分の傾向を客観的に判断しやすくなります。生理期間中にどのような筋トレがやりやすかったのかや、筋トレした後の体調、気分などを参考にして、無理なく続けられるメニューを見つけていきましょう。

まとめ|生理中の筋トレは「我慢」より「調整」

生理中の筋トレは、体調を考慮して無理なく行えばメリットも多いです。生理中という理由で我慢せずに、メニューを調整してできる範囲で行うと良いでしょう。生理中の身体はいつもとは違うことも多々あります。生理アプリ等で心身の変化をデータ化すると、不調が起こりやすいタイミングや運動をしても差し障りないタイミングの傾向が掴みやすくなります。安心して筋トレを続けるために、フェムケアやフェムテックも活用していきましょう。

コメント