生理中にチョコを食べたくなるのはなぜ?我慢せず“上手に食べる”ための科学的アプローチ

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生理中にチョコを無性に食べたくなって、急いで買いに走った経験がある女性は多いでしょう。なぜ、チョコへの欲求が止まらないのか不思議に感じてしまいますよね。

本記事では、生理中に無性にチョコが食べたくなる原因や、食べすぎて困っている人が我慢をせずに上手に食べるための方法をご紹介します。

なぜ生理中はチョコが食べたくなるのか

まずは、なぜ生理中にチョコが食べたくなるのか、その原因を見ていきましょう。

女性ホルモンの変化によるセロトニン低下

生理前から生理中にかけて、女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンの分泌量は大きく変化します。女性ホルモンの分泌量が減少すると、「幸福ホルモン」と呼ばれるセロトニンが減少します。

セロトニンは、脳内の神経伝達物質のひとつで、精神を安定させる役割を担っています。セロトニンが低下すると、攻撃性が高まったり不安感が強くなったりといった状態を招きやすくなると言われています。

セロトニンが低下すると、これら2つのコントロールが不安定になりバランスを崩すことで、攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック症(パニック障害)などの精神症状を引き起こすといわれています。
引用:厚生労働省 記事・用語辞典メニュー セロトニン

セロトニンの材料となるトリプトファンを脳に届けてくれるのは、インスリンだと推測されています。インスリンは甘いものを食べた時に多く分泌されるため、生理中は気分を安定させるために脳が甘いものを欲するのかもしれません。

血糖値の乱れとエネルギー不足

生理の時期は、ホルモンの影響で体温が少し下がることがあります。
その変化によって、エネルギーの使われ方や血糖のバランスが不安定になり、食後でも強い空腹感や甘いものが食べたくなることがあります。ただし、感じ方や程度には個人差があります。

出典:厚生労働省「女性の健康支援」/日本医療研究開発機構(AMED) 「女性の基礎体温のビッグデータ解析による新たな知見を発表」(2020年9月11日)

鉄・マグネシウム不足の影響

生理中は出血により鉄分が失われやすく、鉄欠乏性貧血のリスクも高まります。また、マグネシウムは筋肉の収縮を調整する作用があるとされ、不足すると収縮が強くなり生理痛が増す要因になると言われています。チョコには、鉄分やマグネシウムなどのミネラルが比較的多く含まれており、これらを自然と欲してしまうと考えられています。

ミルクチョコレート(可食部100g)…マグネシウム74mg、鉄2.4mg
スイートチョコレートカカオ増量(可食部100g)…マグネシウム220mg、鉄9.3mg

出典/文部科学省「食品成分データベース

生理中にチョコを食べるメリットと注意点

ダイエット中の方や、糖分の摂取量に気を配っている方は、生理中にチョコを食べることに抵抗感を覚えるかもしれません。ここからは、生理中にチョコを食べるメリットや注意点をご紹介します。

メリット(感じ方には個人差あり)

  • 高カカオチョコのポリフェノール効果:
    高カカオチョコレートにはカカオポリフェノールが多く含まれています。カカオポリフェノールには抗酸化作用が知られており、研究ではストレスの軽減や血流のサポートに役立つ可能性も示唆されています。
    出典/厚生労働省eJIM「統合医療」情報発信サイト
  • 気分の安定に寄与する可能性:
    甘いものを摂ることで一時的に満足感を得られ、気分の落ち込みやイライラの緩和につながることがあります。高カカオ製品を少量、時間を決めて摂ることで、満足感を得ながら糖質量もコントロールしやすくなります。

注意点

  • 糖質の摂りすぎには注意:
    生理中は血糖コントロールが不安定になりやすいため、糖質を摂りすぎると眠気やだるさを悪化させる恐れがあります。食べる時間や量を決め、食後やリラックスタイムなどタイミングを工夫しましょう。
  • カフェインの影響:
    チョコに含まれるカフェインには交感神経を刺激し、血管を収縮させる作用があります。カフェインの影響の受け方には個人差が大きく、過剰摂取には注意が必要とされています。生理痛のある人の中には症状が強く出る場合もあるため、夜間や体調がすぐれない日は控えめにするのが安心です。
    出典/厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
  • PMS・生理痛への影響:
    チョコレートの影響は人によって異なります。カフェイン感受性や体質によってPMSや生理痛が悪化する場合もあるため、体調を観察しながら調整しましょう。

生理周期別に見る「チョコとの付き合い方」

 

チョコを上手に生活の中に取り入れたい方は、生理周期の傾向に合わせて加減するのも良いでしょう。

生理周期別:チョコレートの取り入れ方
時期 ホルモン状態 食欲・身体の傾向 取り入れ方の目安
月経期 ホルモン低下・気分不安定 甘いものが欲しくなる 高カカオを少量、リラックスタイムに
卵胞期 エストロゲン上昇 比較的安定 食後のご褒美程度に控える
排卵期 エストロゲンがピーク 活動的になりやすい プロテインバーへの置き換えも一案
黄体期 プロゲステロン優位 むくみ・イライラが出やすい カフェインレスやナッツ入りを選ぶ

チョコ以外で甘いもの欲を満たすおすすめ食品

生理中に甘いものを食べたくなるのは、生理的な現象ともいえます。我慢しすぎず、チョコ以外のもので欲を満たしたい時は、以下の食品もおすすめです。

  • ドライフルーツ・ナッツ:噛む回数が増えて満足感に寄与。鉄・マグネシウム・食物繊維を補える。
  • カカオ72%以上の高カカオチョコレート:甘みは少ないが、糖質を抑えつつカカオポリフェノールを摂れる。
  • ハイカカオココア/豆乳カカオドリンク:鉄・マグネシウム・ポリフェノールを手軽に摂れ、満足感も得やすい。温かい飲用で身体を内側から温めやすい。

ホルモンバランスを整える「食×運動」習慣

ホルモンバランスを整えることは、心身の健康に大きく影響します。日頃から、ホルモンバランスを整える習慣を身に付けて上手に付き合っていくことが大切です。

軽い筋トレやウォーキングで血流を促進

軽い筋トレやウォーキング、ストレッチ、ヨガなどの運動は、血流を促進しホルモンバランスを整える作用があるとされています。また、心地よい程度の運動は自律神経を整えストレスの軽減や睡眠の改善など、メリットもたくさんあります。

PMSや更年期にも共通するケア視点

生理や更年期など、女性ホルモンの分泌量はどうしても変化するものです。時には無性に甘いものを欲してしまうこともあります。こうした変化はきちんと理解し、受け入れることも大切です。甘いものを控えたい時に、どうしても食べたくなると自分を責めてしまいがちですが、「こういう日もあるのは仕方がない」と考えると心が楽になるでしょう。

生理管理アプリで周期と食欲の関係を記録

自分の体調や気分の変化をデータで客観的に把握できるようになると、変化に備えることができるようになります。生理管理アプリを活用し、入力をしてデータを蓄積するのがおすすめです。食欲が増進する時期や、甘いものが食べたくなる時期、活力が低下しがちな時期などをあらかじめ知ることで、変化があった時に不安にならずにすみます。

まとめ|生理中にチョコを我慢するより「上手に食べる」

生理中にチョコを食べたくなる衝動は、身体からの自然なサインです。無理に我慢するよりも、その特徴を理解して上手に活用することは、生理を乗り切るための助けになるかもしれません。

高カカオチョコレートでポリフェノールやマグネシウムなどを補い、適量を守れば、症状の低減につながることもあります。罪悪感をおぼえるのではなく、自分の周期と向き合い必要に応じて取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

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