会陰マッサージとは?効果・やり方・注意点を専門的に解説【妊娠中のセルフケア】

フェムケアのやり方

妊娠後期が近づくと、「会陰マッサージ」という言葉を目にする機会が増えます。

会陰マッサージは、出産に向けた身体ケアの1つとして紹介されることが多いですが、「本当に効果があるのか」「いつから始めるべきか」「やらないといけないのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。

本記事では、会陰マッサージの基本から効果の考え方、正しい方法、注意点までを専門的に解説します。

会陰マッサージとは?

そもそも会陰マッサージとはどのようなものを指すのでしょうか。目的や妊娠後期に勧められることが多い理由をご紹介します。

会陰とはどこの部位か

会陰とは、肛門と小陰唇の肛門側との間にある皮膚と筋肉の領域を指します。長さは2cm~5cmで、出産時には大きく伸びる部位でもあります。

会陰マッサージの目的と考え方

会陰は、出産時には大きく伸び、赤ちゃんがスムーズに出産されるのを助けます。しかし、この伸びが足りなければ小陰唇側から切れたり、傷ができたりすることもあります。

会陰マッサージは、会陰の伸縮性を高めて会陰裂傷や会陰切開のリスクを減らし、分娩によるダメージが最小限となるように行うケアの1つです。

また、会陰マッサージを通じて出産の心構えをしたり、身体としっかりと向き合ったりするという目的もあります。

なぜ妊娠後期にすすめられることが多いのか

会陰マッサージは、妊娠34週頃から始めるのが一般的です。

病院によってはそれよりも少し早い時期から勧められることもあります。

もちろん、妊娠の経過は人それぞれです。医師や助産師と相談して、自分に適した時期をアドバイスしてもらうと安心ですよ。

会陰マッサージについては、まだ不確かな部分もあり、早期に会陰マッサージを始めたからといって効果が出やすいわけではないと言われています。

現段階では、妊娠最終月のマッサージが会陰裂傷の減少に有効という説がよく知られているため、妊娠後期に勧められるケースが多い傾向にあります。

参照:一般社団法人 日本助産学会

会陰マッサージで期待される効果

会陰マッサージをすると、どのような効果が期待できるのか、具体的に見ていきましょう。

会陰部の柔軟性を保つサポート

会陰マッサージは、会陰部の伸びをよくする効果が期待できます。会陰部の柔軟性が高まることで、分娩時の会陰裂傷のリスクや、その程度を軽減できる可能性があるからです。

経腟分娩が初めての妊婦さんの場合には,妊娠 34 週以降に会陰のマッサージを週に3回以行った場合に,会陰裂傷を減らしたり,できたとしても縫う必要がない程度の傷となる可能性が示されました。
引用:一般社団法人 日本助産学会

出産時の不安軽減につながる可能性

出産時の不安は、計り知れないものがあります。特に、初めての出産では、色々な不安を抱えながら当日を迎える方も少なくありません。

会陰マッサージを妊娠後期に行うことは、出産間近の自分自身と向き合う大切な時間となります。出産に向けた準備を、自分ができる範囲で行うことで、気持ちが落ち着き不安軽減につながる可能性もあります。

医学的にわかっていること・わかっていないこと

会陰マッサージの効果については、まだわかっていないこともたくさんあります。例えば、適切な頻度や方法については、研究によって違いもあり、確実に会陰裂傷が防げるわけではありません。

また、過去に経腟分娩を経験している方については、初めての方に比べると会陰が伸びやすく、その効果を実感しにくい傾向にあるようです。

会陰マッサージは本当に必要?

会陰マッサージは、経腟分娩が初めての方に効果が出やすいとされていますが、その必要性はどのくらいなのか気になる方もいるでしょう。ここからは、会陰マッサージの必要性についてご紹介します。

必ず行わなければならないケアではない

会陰マッサージは、妊婦さんに課せられる義務ではありません。あくまでも任意であり、無理のない範囲で自分自身の体調や気持ちを尊重しながら、行うかどうか考えましょう。

体質・出産状況による個人差

会陰マッサージの効果は、会陰の伸びやすさや赤ちゃんの大きさ、出産の状況などによって大きく左右されます。どんなに熱心に会陰マッサージを行っても、人によっては会陰切開が必要になるケースもありますし、逆に何もしなくても傷が浅く済む場合もあります。

行わない選択をしても問題ない理由

会陰マッサージをしないからといって、不安になる必要はありません。やりたいと思っていても、お腹が張ったり体調が優れなかったりすると、実行できないこともあるでしょう。会陰マッサージを行わなかったからといって、医学的に大きな問題が生じることはないという考え方が一般的です。

会陰マッサージの正しいやり方

会陰マッサージを行う際は、以下のポイントを踏まえて正しく行いましょう。

始める時期の目安

会陰マッサージを始める目安は、妊娠34週頃からです。しかし、自己判断せずに、かかりつけの医師に相談されることをおすすめします。

基本的な手順

会陰マッサージの基本的な手順は以下のとおりです。

・手を洗って清潔にする
・リラックスできる姿勢をとる
・指先に専用のオイル等をつけて、会陰部分になじませる
・親指の第一関節までを腟の中に入れて、左右や下方向に半円を描くように広げながら優しく圧をかけてほぐす

使用するオイル・ジェルの考え方

会陰マッサージに使用するオイルやジェルは、できるだけ低刺激で品質の高いものがおすすめです。ホホバオイルやカレンデュラオイルが選ばれることも多いですが、迷った時はかかりつけ医に相談しましょう。

頻度と1回あたりの目安時間

1回あたり5分程度、週2~3回が目安です。これ以上の頻度で行っても、結果はあまり変わらないという説もあるため、無理なく継続できる範囲で行いましょう。

会陰マッサージを行う際の注意点

会陰マッサージを行う際は、以下のポイントに注意しましょう。

やってはいけないタイミング

お腹が張っている時や、医師から安静の指示がある時は控えましょう。また、体調が優れない、疲労感が激しいなど、ご自身のコンディションがあまり良くない時も休んだ方が無難です。

痛み・違和感がある場合の対応

痛みや違和感、刺激を感じた場合は、すぐに中止しましょう。マッサージと聞くと、「少しくらい痛いくらいが良い」と思われるかもしれませんが、傷や炎症につながる可能性があります。

感染症・出血がある場合

カンジダなどの感染症や原因不明の出血、傷や湿疹などがある場合は、会陰マッサージを控えましょう。かえって症状を悪化させる等のリスクがあります。

自己判断せず専門家に相談すべきケース

会陰マッサージ後に異常がある場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。また、少しでも不安がある場合は、無理して行う必要はありません。自分自身の体調や気持ちに応じて行うことが大切です。

よくある質問(FAQ)

会陰マッサージについてのよくある質問にお答えします。

会陰マッサージは痛い?

痛みを感じない程度の優しい力加減で行いましょう。慣れるまでは皮膚の突っ張り感があるかもしれません。強い痛みや違和感がある場合は、無理せず休止しましょう。

パートナーが行ってもいい?

お腹が大きくなると、自分自身で行うことが難しくなってきます。パートナーの協力によって、妊婦さんは楽な姿勢を保つことができるため、おすすめです。

毎日やらないと意味がない?

基本的に、週2~3回が目安とされています。そもそも毎日行う必要はないため、無理なく行える程度で続けましょう。

会陰マッサージで産後の回復は変わる?

会陰マッサージは、分娩時の会陰裂傷のリスクやその程度を軽減し、産後の負担を少なくする効果が期待できます。しかし、出産後の回復には個人差があります。

日本産婦人科医会の「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル」でも紹介されている通り、産後は無理をせず、自分のペースで生活の質(QOL)を保つことが大切です。

参照:日本産婦人科医会「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル」

まとめ

会陰マッサージは、出産を少しでも安心して迎えるためのセルフケアの1つです。しかし、義務として行うべきものではなく、自分の身体と相談しながら取り入れるケアとして継続することが重要です。大切な身体を守るためにも、正しい知識を持ち、無理のない範囲で行っていきましょう。

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