女性の健康を支えるために、骨盤底筋の重要性が注目されています。妊娠や出産、加齢、運動不足などにより骨盤底筋が弱くなると、身体に様々なトラブルが起きる可能性があるためです。しかし、正しい骨盤底筋トレーニングを行うことで、骨盤底筋が原因のトラブルを予防し、健康的な生活を送れます。
本記事では、骨盤底筋が弱くなる原因やその影響、骨盤底筋を鍛える具体的なトレーニング方法を詳しく解説します。骨盤底筋トレーニングを継続するコツも紹介するので、骨盤底筋を鍛えて健康に過ごしたい方は最後までお読みください。
骨盤底筋とは?
骨盤底筋は骨盤の底に位置する筋肉群で、膀胱、子宮、直腸を支える役割を果たしています。骨盤底筋は内臓が下がらないように正しい位置に保つだけでなく、排泄のコントロールや性機能にも関与しています。
骨盤底筋に起因するトラブルは日常生活に影響を及ぼし、生活の質を下げてしまいます。女性が毎日を快適に過ごすためには、骨盤底筋が健康であることが重要です。
骨盤底筋が弱くなる原因4選
骨盤底筋が弱くなる原因は以下のとおりです。
・加齢や運動不足による筋力低下
・肥満や便秘
・ホルモンバランスの変化
妊娠・出産
妊娠中は、赤ちゃんの成長に伴って骨盤底筋にかかる負担が増していきます。経腟分娩後は骨盤底筋が大きく伸びるため、骨盤底筋が弱くなりやすいです。
加齢や運動不足による筋力低下
骨盤底筋は複数の筋肉で構成されています。そのため、加齢や運動不足により筋力が低下すると、骨盤底筋の筋力も低下します。
肥満や便秘
肥満や便秘も骨盤底筋を弱くする原因の一つです。肥満の場合、体内から重みがかかるため骨盤底筋に負担がかかります。便秘による排便時のいきみは腹圧が上昇し、骨盤底筋に負担をかけます。また、重い荷物を持つ動作も強い腹圧がかかるため、骨盤底筋に負担が大きい動作です。
ホルモンバランスの変化
骨盤底筋は女性ホルモンの影響も受けます。閉経後はエストロゲンの分泌が低下するため、骨盤底筋が弱くなりやすいです。
骨盤底筋の弱まりが女性に与える影響
骨盤底筋が弱くなると、以下のような影響があります。
・腰痛や姿勢の悪化
・性機能の低下
・骨盤臓器脱
尿漏れ
骨盤底筋は排尿・排便時に使う筋肉です。骨盤底筋が弱くなると、排泄のコントロールがうまくできなくなり、尿漏れにつながる可能性があります。
腰痛や姿勢の悪化
骨盤底筋が弱くなると、姿勢が不安定になりやすいです。不安定な姿勢は腰痛や肩こり、さらなる姿勢の悪化を引き起こします。
性機能の低下
骨盤底筋は性機能にも影響を及ぼします。膣のゆるみや空気漏れ、性的な快感の減少などから、性生活への意欲や満足度が低下するためです。
骨盤臓器脱
骨盤底筋の弱まりは、骨盤臓器脱の原因になります。骨盤臓器脱とは、膀胱や子宮、直腸が体外に出てくる病気です。軽度の場合は、骨盤底筋トレーニングにより改善しますが、症状が重い場合は、膣内へのペッサリーの挿入や手術が必要です。
このように骨盤底筋が弱くなると、身体面だけでなく、心理面でのストレスにもつながります。
骨盤底筋を鍛える3つのメリット
骨盤底筋を鍛えると以下のメリットが得られます。
・精神的なメリット
・運動面でのメリット
身体的なメリット
骨盤底筋を鍛えると、尿漏れの改善が期待できます。また、骨盤の不安定さが軽減することで、姿勢が安定し、腰痛の改善にもつながります。
精神的なメリット
尿漏れや性生活に関する不安は、相談しにくく、自信を喪失しやすいものです。骨盤底筋を鍛えてトラブルが改善すると、不安が解消され気持ちが軽くなります。ストレスが軽減すれば、より快適な生活を送ることができます。
運動面でのメリット
骨盤底筋の強化は、運動においてもメリットがあります。ランニングやヨガを行う際に、骨盤底筋がしっかり機能することで、運動時のパフォーマンス向上にもつながります。骨盤の安定性が増すと、姿勢の改善や体型維持にも有効です。
骨盤底筋のトレーニング方法
骨盤底筋を鍛えるためのトレーニング方法を紹介します。取り組めそうなものから行ってみましょう。
ケーゲル運動
ケーゲル運動は気軽に取り入れやすいトレーニングです。最初は横になった状態から取り組むと、骨盤底筋の収縮を感じやすいのでおすすめです。
②骨盤底筋を意識して、1~2秒間収縮させます。尿を止めたり、肛門を締めたりする感覚を意識して ください。
③骨盤底筋をゆるめて弛緩させます。
ブリッジ
ブリッジは、骨盤底筋を鍛えながら背面や下半身の引き締めも期待できるトレーニングです。
②腰を持ち上げて、肩から膝まで一直線になるようにします。膝が外側に広がらないように気を付けましょう。
③5秒間その姿勢を保持し、ゆっくり下ろします。
これを10回繰り返します。
ヒップスラスト
ヒップスラストは、下半身の筋力を強め、お尻の引き締めにも効果があります。
②骨盤を持ち上げて、膝から肩まで一直線になるようにします。腰を反らせると腰痛の原因になるため注意してください。
③5秒間その姿勢を保持し、ゆっくり下ろします。
これを10回繰り返します。
姿勢改善
姿勢よく過ごすことは、骨盤底筋の強化につながります。座るときや立つときは背筋を伸ばし、骨盤を立てて正しい位置に保つことを心がけましょう。猫背や反り腰にならないように注意し、頭から床に向かって一直線になるように意識してください。
呼吸法
骨盤底筋は横隔膜と連動しているため、深い呼吸を意識すると骨盤底筋を自然に使うことができます。息を吸うときは横隔膜が下がり、骨盤底筋はゆるみます。反対に息を吐くときは横隔膜が上がり、骨盤底筋は締まります。
骨盤底筋トレーニングは無理をせず、徐々に回数や負荷を増やしていくことが大切です。最初は少ない回数から始め、体が慣れてきたら少しずつ増やしていきましょう。週に3回以上の頻度で行うことで、効果を実感しやすくなります。
間違った方法で骨盤底筋トレーニングを行うと、他の筋肉に負荷をかけてしまい、逆効果になってしまいます。泌尿器科や骨盤底筋について相談できる外来を利用し、専門家のアドバイスを受けるのもおすすめです。
骨盤底筋トレーニングを継続するコツ
骨盤底筋トレーニングは即効性はありません。効果を実感できるまでに2~3か月程度かかるため、継続することが大切です。継続するためのコツを紹介します。
・仲間を作る
・隙間時間を活用する
・ヨガやピラティスを取り入れる
目標を設定し記録する
骨盤底筋トレーニングの具体的な目標を設定すると、継続しやすいです。1日の目標回数や取り組むトレーニングの種類を設定するなど、評価できる目標を設定しましょう。手帳やカレンダー、アプリを利用してトレーニングの取り組みを記録すると、自分の成長を実感でき、達成感を感じられます。記録をつけることは、モチベーションの維持にもつながります。
仲間を作る
骨盤底筋トレーニングの継続には、仲間を作ることもおすすめです。一人で行うよりもモチベーションが上がり、励まし合いながら一緒に取り組めるためです。友人と取り組んだり、オンラインのコミュニティに参加したりする方法があります。
また、骨盤底筋トレーニングは、女性だけでなく男性の健康維持にも重要なので、パートナーと一緒に取り組むのもおすすめです。
隙間時間を活用する
ケーゲル運動や姿勢改善、呼吸法は、隙間時間にも取り組めます。休憩時間や電車、家事の間などをうまく活用し、日常生活に骨盤底筋トレーニングを取り入れてみましょう。忙しい方は、姿勢や呼吸に意識を向けるところから始めてみてください。
ヨガやピラティスを取り入れる
ヨガやピラティスは、骨盤底筋も鍛えられるトレーニングです。骨盤底筋に効果的なポーズや動作があるため、骨盤底筋を鍛えながら、全身の柔軟性を向上させ、体幹を強化する効果も得られます。ヨガやピラティスを楽しみながら骨盤底筋も鍛えられるため、取り入れてみるのもよいでしょう。
まとめ
骨盤底筋は、骨盤の底に位置する筋肉群で、骨盤内の臓器を支える大切な役割を持っています。
骨盤底筋を鍛えることの重要性
骨盤底筋を鍛えることは、女性の健康にとって非常に重要です。尿漏れや腰痛などの問題を予防し、心の健康にも良い影響を与えます。日常生活の中で意識的に骨盤底筋トレーニングを取り入れることで、快適に毎日を送ることができます。
健康的な生活を送るためにトレーニングを
骨盤底筋トレーニングは、特別な器具や大きなスペースを必要とせず、どこでも簡単に行えるのが魅力です。自宅でテレビを見ながら、または仕事や家事の合間に少しずつ取り入れることで、無理なく習慣化できます。
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