会陰パックとは?効果・やり方・注意点を専門的に解説【妊娠後期のセルフケア】

フェムケアのやり方

妊娠後期が近づくと、「会陰パック」というケア方法を目にすることがあります。

会陰パックは、出産準備のセルフケアの1つとして紹介されることが多い一方で、効果や安全性、必要性について疑問を感じる方も少なくありません。

本記事では、会陰パックの基本から期待される効果、正しい考え方、注意点までを専門的に解説します。

会陰パックとは?

まずは、会陰パックについての基本的な情報から見ていきましょう。

会陰とはどこの部位か

会陰とは、肛門と小陰唇の肛門側との間にある皮膚と筋肉の領域を指します。長さは2cm~5cmで、出産時には大きく伸びる部位でもあります。妊娠・出産では、非常に負荷がかかるため、保護を目的としたケアの必要性もよく耳にするでしょう。

会陰パックの目的と考え方

会陰パックとは、会陰部の皮膚を柔らかく保つために、植物性のオイルを浸したコットン等を当てて保湿を行うケアのことを指します。出産時、赤ちゃんの頭が通り抜ける際に、会陰部の伸びを良くすることが主な目的です。

会陰マッサージとの違い

妊娠後期には、会陰マッサージというケアも勧められることがあります。会陰マッサージは、指を使ってストレッチをして、物理的に会陰部を柔らかくする方法を指します。

一方、会陰パックは、会陰部の保湿を通じて皮膚を柔らかくするのが特徴です。会陰マッサージに比べると、刺激が少なくより手軽に行えます。

会陰パックで期待される効果

会陰パックで期待できる効果について、もう少し詳しく見ていきましょう。

会陰部の乾燥を防ぎ、保湿をサポートする

会陰部の乾燥を防ぐことは、出産に向けたコンディションを整えることにつながります。継続的に保湿することで、皮膚のバリア機能をサポートするだけでなく、乾燥による痒みやつっぱり感を軽減する効果も期待できるとされています。

出産に向けた心身の準備をする

出産間近の妊婦さんは、さまざまな不安を抱えていることも少なくありません。会陰パックで自分を慈しむ時間を設けることが、気持ちを落ち着かせ緊張を和らげ、出産への心の準備を整える効果もあると考えられています。

医学的に明確なエビデンスが限られている理由

会陰パックについての効果などについては、まだ分かっていない部分も多いです。会陰パックが必ずしも分娩時の負担を和らげたり、会陰裂傷などの傷のリスクを抑えるなどの明確な結論も十分に出ていないのが現状です。

これは、出産時の状況や赤ちゃんの大きさ、妊婦さんの状態などが画一ではなく、比較検討が難しいことも関係しています。

一般社団法人日本助産学会の見解でも、会陰ケアは妊婦本人の状態や希望を尊重しながら選択することが重要とされています。

参照:【一般向け】女性と子どもに役立つ助産の知見「出産時に会陰に傷ができないようにするためにできることはあり ますか? 」一般社団法人日本助産学会

会陰パックは本当に必要?

会陰パックの必要性はあるのか、疑問を持つ方もいるでしょう。体調や気分によっては、やりたくないと感じるかもしれません。そんな時に、判断材料となる情報をご紹介します。

必須の出産準備ではない

会陰パックをした方の経験談では、「やっておいて良かった」という意見もよく目にします。

しかし、会陰パックをしなかったことで悪影響が出るというデータはなく、効果の感じ方は妊婦さんの体質や赤ちゃんの大きさなどで大きく左右されます。

会陰パックはすべての妊婦さんが行うべきもの、と決められているわけではありません。

行う・行わないは個人の選択

会陰パックを行うかどうかは、あくまでも個人の自由な選択に委ねられます。少しでもケアをした方が安心感が高まる方は取り入れると良いでしょう。

一方で、お腹が大きくてやりにくかったり、億劫に感じたりするのであれば、無理に行う必要は全くありません。やらないという選択をしたことで、自分を責める必要もないのです。

不安を軽減するセルフケアとしての位置づけ

会陰パックの大きなメリットは、自分の身体と向き合い出産への準備を行うためのセルフケア的な側面があることです。

会陰パックに限った話ではありませんが、出産が迫り落ち着かなくなる気持ちを少しでもやわらげ、安心感を得る手段として活用するのも良いでしょう。

会陰パックのやり方

会陰パックに興味がある方のために、基本的な手順をご紹介します。

始める時期の目安(妊娠後期)

会陰パックを始める時期の目安は、妊娠後期(34週以降)とされています。ただし、お腹が張りやすい時期でもあり、無理をしないように注意しましょう。

また、あくまでも個々の体調に応じて行うことが重要です。かかりつけ医に相談されることをおすすめします。

基本的な手順

会陰パックの手順は以下のとおりです。

・爪を短く整える
・手を洗って清潔にする
・コットンやガーゼに会陰パック専用のオイルをたっぷり含ませる
・会陰部にオイルを含ませたコットン等を当てる
・そのまま数分~10分程度おく

下着が汚れないようにおりものシートやナプキンを活用すると良いでしょう。

使用するオイル・ジェルの選び方

会陰パックに使用するオイルやジェルは、産婦人科で推奨されているものを選ぶと安心です。自分で選ぶこともできますが、低刺激・高品質な植物性のものを選びましょう。

頻度・時間の目安

会陰パックの頻度については、特に決められたものはありません。毎晩でも、週2~3回でも、負担にならない頻度で行いましょう。1回のパックにかかる時間は数分~10分程度で十分です。

会陰パックを行う際の注意点

会陰パックを安全に行うために、以下のポイントには注意しましょう。

やってはいけないタイミング

お腹が張っている時や医師から安静を指示されている時、体調が優れない時は、会陰パックを控えましょう。

痛み・痒み・違和感がある場合

会陰パック後やパック中にヒリヒリとした痛みや痒み、違和感がある場合は、すぐに使用を中止して洗い流しましょう。低刺激で高品質なものでも、体質によっては合わない可能性もあります。

感染症・出血がある場合

カンジダ等の感染症がある時や、不正出血、おしるしがある時は、細菌感染のリスクを考慮し会陰パックは避け、速やかに医療機関を受診しましょう。

会陰パックを避けるだけでは対処が不十分な可能性もあるため、自己判断せず専門家への相談が必要です。

参照:厚労省 性感染症ページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/index.html

自己判断を避け、専門家に相談すべきケース

会陰パックは、無理をして行うものではありません。少しでも不安がある場合は、医師や助産師に相談してから考えましょう。

よくある質問(FAQ)

会陰パックについてのよくある質問にお答えします。

会陰パックは毎日やらないと意味がない?

会陰パックは、無理のない頻度で行うことが重要です。毎日やらなければならない、意味がないというものではありません。

市販品と植物オイル、どちらがよい?

会陰部に使えてご自身の体質に合うものであれば、市販品でも植物オイルでも問題ありません。産婦人科で推奨されている製品が安心です。

パートナーが手伝ってもいい?

パートナーに手伝ってもらうのは、もちろん問題ありません。妊婦さんはリラックスした体制で行うことができるというメリットもあります。

まとめ

会陰パックは、妊娠後期に取り入れられるセルフケアの1つであり、「必ず行うもの」ではありません。行わなかったからといって、医学的に何らかの問題が発生するわけではないため、安心してください。正しい知識を持ち、自分の身体の状態を優先しながら、無理のない範囲で取り入れることが大切です。

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