ドラッグストアや薬局に行くと、フェムケアコーナーにさまざまな洗浄グッズが並んでいます。「生理の終わりかけの不快感をすっきりさせたい」「においが気になるからきれいに洗いたい」と考えて手に取る方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ドラッグストアで買える腟内洗浄・関連アイテムの種類や使い方や注意点について詳しく解説していきます。
腟内洗浄とは?ドラッグストアで買える製品の種類

ドラッグストアに売られている腟内洗浄に関する商品には、「腟の中に液を入れるもの」と「外側(デリケートゾーン)を洗うもの」が混在しています。まずはその違いと種類を正しく整理しておきましょう。
腟内洗浄剤の種類
ドラッグストア等で見かける製品は、大きく以下の3つに分類されます。
ビデ型(携帯ビデなど)
主に精製水やお湯などを使い、外陰部から腟口付近(外側〜入口周辺)を洗い流すタイプです。ノズルを腟口付近にあてて水流で流します。
シリンジ型(腟内注入タイプ)
細いノズル(シリンジ)を腟内に挿入し、専用の洗浄ジェルや精製水を注入するタイプです。医療用途に近い形状をしており、腟の内部まで届きます。
VIOソープ(外陰部用ソープ)
デリケートゾーンの皮膚(外陰部)を洗うためのボディソープです。厳密には腟内洗浄ではなく、体の表面を洗うためのアイテムです。

ドラッグストアで購入できる腟内洗浄剤の概要
これらのアイテムは、ドラッグストアや薬局で手軽に入手できるものが増えています。
| 製品カテゴリ | ドラッグストアでの入手やすさ | 主な使用目的 |
| 携帯ビデ・温水洗浄型 | かなり買いやすい | 外出先・旅行先・生理中の外側の不快感リフレッシュ |
| シリンジ型・腟洗浄液 | 一部店舗・薬局で扱いあり | 生理の終わりかけに使用することも |
| VIOソープ | 非常に買いやすい | 日常のデリケートゾーン(皮膚表面)の清潔保持 |
婦人科が伝える「腟内洗浄」の注意点

医学的には、腟の中まで日常的に洗うことに対して慎重な姿勢がとられています。その理由と注意点を見てみましょう。
腟は自浄作用を持つ器官
女性の腟内は、乳酸菌(善玉菌)の働きによって、常に弱酸性(pH 3.8〜4.5程度)に保っています。
この弱酸性の環境があるおかげで、外部から侵入してきた細菌やカビ(カンジダ菌など)が増殖するのを防ぐことができます。これを腟の「自浄作用(じじょうさよう)」と呼びます。
日常的な洗浄が推奨されない理由
先ほどご紹介したように、女性の腟内には自浄作用があり、洗いすぎてしまうとトラブルの原因になることがあるとされています。
日常的に水や洗浄液で腟内を洗うと、腟内を守っている大切な乳酸菌まで一緒に流れ出てしまうからです。
また、水道水や一般的な洗浄液が入ることで腟内の弱酸性環境が薄まり、アルカリ性に傾きます。その結果、雑菌が繁殖しやすい状態につながる恐れがあります。また、ノズルの挿入や強い水圧によってデリケートな腟粘膜が傷つき、炎症を起こすことがあります。
世界保健機関(WHO)のガイドラインにおいても、過度な腟内洗浄は感染症リスクを高めるとして推奨されていません。
膣洗浄や膣洗浄液の使用は、細菌性膣炎(BV)の発症リスクを高める可能性があります。
引用:WHO
使用が検討される場面
では、どのような場面であれば腟内洗浄の使用が検討されるのでしょうか。主に、以下のような場面では、腟内洗浄の使用を検討するのも良いとされています。
・受診前の一時的な対処 どうしてもにおいや不快感が気になり、一時的に不快感を和らげたい場合(※ただし、後述するように受診を優先することが鉄則です)。
ドラッグストアで買える関連アイテムの種類と選び方

ドラッグストアには、様々なフェムケア関連アイテムがあります。店頭で迷ったときは、自分の目的に合ったアイテムを正しく選ぶことが大切です。
1.VIOソープ(日々のデリケートゾーンのケアに。最も推奨)
2.携帯ビデ(生理中や外出先での不快感軽減に)
3.腟内洗浄液・シリンジ型(限定的な使用にとどめる)
ビデ・携帯洗浄器
お湯や精製水で、外陰部や腟口の周りを洗い流す使い捨て・携帯型のアイテムです。生理中の経血によるベタつきが気になるときや、旅行先・外出先で温水洗浄便座が使えないときなどの補助ケアとして便利です。
腟の深部までノズルを押し込んで洗うためのものではありません。 あくまで外側〜入口付近を優しく流す目的で使用しましょう。
VIOソープ
デリケートゾーンの皮膚表面を洗うための専用ソープです。毎日の入浴時のスキンケアや清潔保持に役立ちます。色々な種類がありますが、腟周囲の皮膚環境をできるだけ乱さないように、弱酸性の表示があるものを選びましょう。また、無香料・低刺激のものかどうかも確認する必要があります。
一般的なボディソープで洗っている方もいるかもしれませんが、これらはアルカリ性〜弱アルカリ性のものが多く、洗浄力が強すぎて乾燥やかゆみの原因につながる恐れがあります。デリケートゾーンの洗浄は、専用のものを使いましょう。


腟内洗浄液・シリンジ型
弱酸性のジェルや精製水が入ったシリンジを腟内に挿入し、内部を流すタイプです。生理の終わりかけ(4〜6日目など)に残った経血をすっきり排出させたいときなどに便利でしょう。
過度な使用は腟内環境を乱す恐れがあるため、自己判断で毎日使うのは避けた方が安心です。また、パッケージを見て「管理医療機器」などの記載があるなど、信頼できるメーカー製品を選びましょう。使用に不安がある場合や、気になる症状がある場合は、事前に薬剤師や婦人科医に相談しましょう。
腟内洗浄を使う場合の正しい手順と注意点

腟内洗浄をどうしても生理の終盤に使いたい場合や、医師から許可を得て使用する場合は、トラブルを防ぐために正しい手順と注意点を守りましょう。
使用頻度・量の目安
過度な使用は推奨されていません。日常的に使用するのはやめましょう。例えば、「生理の終わりかけに1回だけ」など、最小限にとどめるのが無難です。
避けるべき使い方
間違った使い方をすると、腟内環境を著しく悪化させたり、感染症を引き起こしたりする危険があります。以下のような使用は避けましょう。
・ 高圧、大量の液体をシャワー等で注入する
・水道水をそのまま腟内に入れる
・ 香り付き、アルコール入りの製品を使用する
・生理中の経血が多い時期の腟内洗浄
以上の注意点には既に解説した内容もありますが、生理中の経血が多い時期の使用も注意が必要です。経血や洗浄液が子宮側に逆流し、子宮内膜炎や骨盤内感染症のリスクを高める※可能性があります。経血の多い2日目や3日目などの使用は避けましょう。
※気になる症状がある場合は婦人科への受診をご検討ください。

こんな症状がある場合は婦人科へ
腟内洗浄を検討する人のなかには、デリケートゾーンの臭いについて悩んでいる方もいます。しかし、腟の臭いやお悩みの原因が単なる汚れではなく感染症や炎症である場合、市販の洗浄液で洗っても解決しません。むしろ洗い流すことで発見が遅れたり、症状が悪化したりします。気になる症状がある場合は、婦人科への受診をご検討ください。
セルフケアで解決しない症状
以下のような症状がある場合は、自浄作用が低下しているか、何らかの病原菌に感染している可能性も考えられます。セルフケアで解決しない場合は、医療機関への受診も検討しましょう。
・ツーンとする酸っぱすぎる臭いや強い異臭がする
・おりものの色がおかしい(黄緑色、灰色がかっている)
・おりものが泡立っている
・おりものの形状がおかしい(ポロポロしたカッテージチーズ状、酒かす状、ボロボロした豆腐状など)
・外陰部や腟内の強いかゆみがある
・外陰部や腟内にヒリヒリとした熱感や痛みがある
・排尿時や性交時に痛みがある
受診の目安
上記の症状が1つでもある場合は、セルフケアをすぐに中止し、婦人科(婦人科・産婦人科・レディースクリニック)を受診してください。
腟の異常は、細菌性腟症、膣カンジダ症、トリコモナス原虫症、クラミジア感染症などの可能性があり、それぞれ効くお薬(抗生剤や抗真菌薬)が全く異なります。早期に受診して正しい処方を受けることが、一番の解決策です。
参照 細菌性膣症|日本性感染症学会
参照 カンジダ症|国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト
参照 性感染症|厚生労働省
よくある質問(FAQ)

腟内洗浄に関するよくある質問にお答えします。
腟内を洗浄すると清潔になる?
かえって逆効果になることもあるため注意が必要です。 腟には自浄作用があり、善玉菌(乳酸菌)が弱酸性の環境を保つことで清潔を維持しています。水や洗浄液で中を洗い流してしまうと、この善玉菌まで減ってしまい、かえって雑菌が増えてニオイや炎症の原因になることがあります。
生理中の腟内洗浄は?
経血が多い時期の洗浄は推奨されていません。 生理中の不快感を減らしたい場合は、デリケートゾーン用のウェットシートで外側を拭くか、外陰部用ウォッシュで優しく外側を洗い流す程度にとどめましょう。
ビデと腟内洗浄は違う?
大きく異なります。ビデは、外陰部や腟の「入口付近(外側)」をお湯などで洗い流すものです。一方、腟内洗浄は 腟の「内部(中)」にノズルを入れて液体を注入します。日常的なケアとしては、お風呂で外陰部を優しくお湯や専用ソープで洗うだけで十分です。

まとめ
基本的に、腟には自浄作用があるため、健康な状態であれば腟内を洗う必要はありません。日常的な腟内洗浄は、善玉菌を減らして雑菌を増やしてしまうリスクがあり、推奨されていないため注意しましょう。ドラッグストアでは、携帯ビデ、VIOソープ、シリンジ型洗浄液などが購入できますが、日常ケアではVIOソープの使用だけで十分です。
もし、おりものの異常などある場合は、セルフケアで済ませず、早めに婦人科を受診しましょう。

コメント